歓迎

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歓迎

レア・シャスティマ王国のキョートルに入ると、町がざわめいたようだった。 不審に思いながらも宿に入って旅装を解くと、宿の(あるじ)が話してくれた。 皆、彩石判定師一行の噂をしていると。 「結界修復だけでなく、東西セルズにいた賊どもを退治しなさったとか、いや、なかなかできることではない」 ミナは言った。 「すべて協力してくださった方々のお陰です。東セルズの王、クオラさま、そのほかの領主さま方、西セルズの領主さま方、それにヴェヅネッカの中央政府の方々もご尽力くださいました。西セルズの王さまも、おかしな術をかけられていなければ、きっとお手を貸してくださったでしょう」 「なんと!おかしな術とは?」 「操りの術です。誰の所業かまでは突き止められませんでしたが、とにかく、いつ頃からか、西セルズは何者かに操られていたのですね…」 この話は瞬く間に広まった。 翌日、アカッテに着くと、一行は大きな歓声に包まれた。 サリたちが驚いて馬車の窓の外を見ると、沿道に人々が集まっていて、サリたち一行を笑顔で迎えてくれているのだった。 サリとミナは少々恥ずかしく、しかしそれだけ人の役に立てたことが、嬉しくもあった。 復路も、往きと同じ黒く背の高い宿で、部屋も同じく広く、居心地がいい。 宿に着いたのは昼前だったので、手紙でカィンに教えてもらった店で昼食をいただき、灰避けを取り払った多くの店を覗いて回り、ミナたちは、たくさん、お土産を買った。 翌日、また店巡りをしていると、ある会話が耳に入った。 ティターヌの王宮に民衆が詰めかけ、声を合わせて叫んだそうだ。 王様を解放しろ、国政を中央政府に一任しろ、と。 すると、セムネスティが出てきて国民に約束したそうだ。 しばらく国政を中央政府の手に委ねると。 その証として、委任状を携えた使者をその場で送り出した。 ミナはこの話に耳を傾け、にっこり笑った。 「どこまで読んでる」 やや不機嫌ぎみのデュッカにミナは言った。 「読んでなんていませんよ。ただ、ひとは与えられるだけでなく、頑張って生きているんだなあと思っているだけです」 サリはそんな考え方があるんだな、と思った。 結界修復は、一部の者たちが人々に与えたものだけれども、王を動かしたのは、その与えられた人々に違いない。
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