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港にはアークやルーク、ひと月前に見送りに来てくれたひとたちが揃っていた。
段梯子が渡され、リザウェラが先に船を降り、サリ、イルマ、ミナ、と続く。
アークが駆け寄って、サリの両手を握った。
「大丈夫?なんともない?」
「大丈夫ですわ!アーク、お元気でしたか?」
「元気よっ。ミナ!あなたには色々と言いたいことがねえ…」
「ああー…、えっと、ごめんなさい」
「謝ればいいってもんじゃないのよ!もう、もう…っ」
ミナは自分の両腕を掴むアークの両肘を手で包んだ。
「大丈夫ですから。ね?」
アークは、何かごまかされている気がしたが、言うのは我慢した。
荷物をすべて馬車に積み込んだ一行は、一旦、アークの前に集まった。
アークは全員の顔を見て、言った。
「務め、ご苦労でした。怪我もなく済んで安心したわ。無事に帰ってくれてありがとう。荷物を片付けたら、今日はもう休んで。明日も休みよ」
ほっとした空気がただよい、皆、互いに顔を見合わせて笑った。
「じゃあ帰るわよ!」
アークのその言葉に、一行は馬車に乗り、王城へと向かった。
出迎えに来た者たちは、アークとルークと彩石騎士たちは馬車に乗って王城へ、カリとイズラは水の宮、サリの両親のカルトラとサムナはユヅリ邸へ、ファラは火の宮、ロアは土の宮、ミスエルはシェイドの家に戻った。
騎士たちは、到着した王城の馬車回しで、荷物を降ろすと、それぞれ別れて自分たちの部屋に戻り、サリ、ミナ、デュッカ、ムト、グレンは、荷物を王城の荷持ちに預け、政王執務室へ向かった。
そこにはユラ-カグナがいて、声を掛けて1人1人労った。
そうして一段落つくと、アークが改めて言った。
「まずはよくやってくれたわ。サリ、問題なかった?」
サリはにっこり笑った。
「何も問題ありませんでしたわ!ちゃんと修復できましてよ!」
「無事に帰ってくれてよかったわ。ミナ、あなたが帰らなければ西セルズにはどんなことだってしてた。そのくらいの自覚は持って行動して。倒れたって聞いて血の気が引いたわ…西セルズの王に対する怒りで」
「すみません…」
「口だけでないといいんだけど!デュッカ、ご苦労だったわ。グレン、ありがとう」
グレンはにっこり笑った。
「お役に立ててよかった。では私は、一旦、国へ帰ることにしますよ。色々とあったから、報告しなければね」
グレンが去ると、アークは応接用の背の低い、1人掛けの椅子に倒れ込んだ。
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