序章 大正7年3月7日午前4時
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パン、パン……。 乾いた銃声は、凍てついた街路にも響いた。 まだ夜明け前……シベリアの冬の長い夜にあっては、むしろ夜中の部類といえる午前四時。 ブラゴヴェシェンスク市庁舎の前に詰めかけた群衆はその銃声に一瞬動きを止めた。揉みくちゃにされていたニーナは、この隙に体が大きい上に着膨れした男たち女たちをかき分けすり抜けして、市庁舎のエントランスまでたどり着いた。
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