第1章

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     「雨」 小学生のころ 台風がくると お友達がみんな お迎えが来て帰ってゆくのに わたしは一人 あんな弱い傘ひとつで 歩かなくてはいけなかった 全身が濡れても 強がるしかなかった 楽しむしかなかった 惨めになってしまわぬように 大人になって 助手席から降りるのに 傘を差してくれる 男の人がいるなんて 信じられなかった 子供のわたしに 教えてあげたい 雨も悪くないですよ 大人になれば 一人ぼっちじゃないですよ 大人の私に彼女が言うだろう 雨も悪くないですよ 濡れる事を楽しめるのも 子供のうちだけですから
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