イケメンがあたしに恋した日(仮)〈松木加奈創作ノート〉

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 妄想がさく裂して、漫画が描けません。  推定……カップ。驚くほど巨乳というわけでもないが、たわわな実り。  修学旅行で一緒に入った温泉で、あたしは何度かのチラ見で測定した。  すずリンは、何気にグラマーなのである。  もちろん、彼女はタオルで前を隠していた。  そりゃ、そうだ。学年イチのイケメンである田宮くんを彼氏に持っていると、その彼女というのは、ただでさえ注目を集めるものだ。  ましてや裸。同じ女ではあるけれど、興味がないと言えば嘘になる。  服の上からじゃ、そうはわからないのだけれど。体育の時間でさえ、誰も彼女の胸の大きさに目を奪われることはないから。  最近は、大きな胸をわざと目立たなくするようなブラジャーも通販なんかで売られている。きっと、それを付けているのだろう。  田宮くんの指示? 他の男の視線を集めさせないための。  訊いてみたいけれど、さすがにそこまで訊く勇気はない。  恋愛経験ゼロのあたしには、刺激が強すぎて、よからぬ想像が頭の中を支配してやまない。  そのテの漫画や恋愛小説を、夜な夜な、あたしは読み過ぎているからなァ。  お蔭で、想像力だけはかなり逞しくなり、想像という枠を飛び越えて、妄想の域に間違いなく達しているだろう。
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