イケメンがあたしに恋した日(仮)〈松木加奈創作ノート〉

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 だって、すずリンの胸元についつい目が行くし、田宮くんがうちらのクラスにやって来たときなんかに手元がやたら目につくし。  田宮くんの手が、すずリンの、あの豊満な胸を…。  キャー!  だって、あの人たちつきあって結構経つんだし、最近のすずリンったらすっかり色っぽくなっちゃって、あのふたり、当然そういう関係だよな~。  恋人同士って、きっと、あんなことも、こんなことも、そんなこともしちゃうんだろうな~。  ああ、ダメダメ。今日も妄想がさく裂して漫画が描けない。  変態だ、あたし。  いっそのこと、あたしも彼氏をつくっちゃえばいい。そう思って周囲を見渡すのだけれど。  恋愛少女漫画を描くために、すずリンと田宮くんの取材ノートを書きはじめたが、その過程で田宮くんの、あの美少年な顔を何度も見ているうちに、そんじょそこらの男子がみんなイモに見えるようになってしまった。  どうしよう。あたし、このまま一生恋愛と無縁だったら。  恋愛経験もなしで、いい恋愛漫画なんか描けるのだろうか。  いくら本とかたくさん読んでも、経験に勝るものはない。頭でっかちで人を感動させられるようなストーリーを描けるとは思えない。  だからといって、誰かを無理矢理好きになるなんてことが出来るほど、人って器用じゃない。
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