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師匠との再会
「あ! 師匠! ローゼン師匠!!」
ハットはお目当てのローゼンを見つけた。人が足を踏み入れたことなど無いような山の中だ。
ローゼンはハットをすでに見つけていて、笑みを浮かべている。そのローゼンの傍らには、ハットが会ったことのない、ローゼンより少し背の高い可愛らしい少女がいる。
「師匠! お久しぶりです! お元気でしたか?」
ハットは1年前までの修行の時のように元気よくローゼンに挨拶をした。そして、少女を優しい笑顔で一瞥する。
「うんうん! ハットも元気そうだニャ。うん! 強くなってる、なってるニャー!」
ハットはヒューマン、人間である。ローゼンは獣人、元は猫のようだ。黒猫である。二つ名は『デストロイキャット』
身長175センチのハットに比べローゼンは100センチにも満たない非常に珍しい小さな獣人だ。獣人は決まってヒューマンよりも非常に大きい生物である。だがローゼンの場合は…
「あ、ハット! 先に紹介するニャ、ミルキーだニャ」
猫師匠ローゼンは前足で器用に顔を洗いながら言った。
ミルキーは金髪で顔立ちのはっきりした美少女だ。少女らしい、おしゃれなワンピースドレスをかしこまったように着こなしている。
「ミルキーさん始めまして。ハット・ベリンガルです」
ハットはなぜかしゃちほこばって、目下に見えるミルキーに挨拶をした。
「ええ、知っているわ。アンナちゃんの孫よね」
アンナちゃんといわれてハットはビクッとした。―おばあちゃんをちゃん付けって…一体…―
「私、本名はミラージュキル。戦の女神よ」
ハットは唖然とした。―イクサノメガミ…神って、神様?― ハットは魔法に掛かったように固まった。
「うんうん! ミルキーは神族だニャ。正真正銘。普段は下界には降りてこないけどニャ。今回は特別だニャ」
ローゼンは切り株に寝転がって、身体を丸くしながら言った。
「ローゼン…どうでもいいんだけど、その『ニャ』って言うのはどうにかならないの?」
ミルキーは眉を八の字にして、軽い嫌悪感を見せた。
「仕方ないニャ、これは体質だニャ。何か話すと語尾に必ず『ニャ』が付くニャ。だって、猫だものニャ」
ローゼンは起き上がり、後ろ足で首の下を勢いよく掻いている。
ローゼンは喋ると動物の習性で、どうしても鳴き声が混ざってしまうようだ。
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