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「意識して『ニャ』って言わない事もできるんでしょ?」
「うん、できるニャ。でも疲れるから嫌なのだニャ!」
―そうだったんだ。『ニャ』って言わないと疲れちゃうんだ…― ハットは軽くうなづいている。
「…まあいいわ。…で、ハット。式はいつにする?」
ミルキーは女の子らしい仕草で、ハットを上目遣いにした。
「ああ! ミルキー、その話はあとで!!」
ローゼンは今回、『ニャ』を付けなかった。余程あわてていたのだろう。
―今、『ニャ』って言わなかったニャ…― ハットは師匠に釣られて『ニャ』をつけて考えていた。
「だってぇー、今回はそれが目的じゃ…」
「違うニャ! グランドドラゴンの征伐ニャ!!」
「ええええええ!!!」
ハットは驚くことを飛び越えて、昇天しそうになった。そして、続けて言う。
「グランドドラゴンって、師匠、一度失敗したじゃないですか!」
「うん、そうだニャ!」
ローゼンは切り株の上で、猫独特の『伸び』をしている。
ハットがローゼンの弟子入りをする前にローゼンは当時の仲間を引き連れグランドドラゴンと3日間もの間寝ずに戦った。しかし結果は…。ローゼンたちは惨敗して背走した。その時、生き物の形をしていたのはローゼンだけだった。
「でも今回はニャ、絶対に倒さなきゃいけないのニャ! …だからミルキーを連れてきたニャ…」
「…そうね、アンナちゃんの予言だからね。ハット、アンタは何も聞いてないの?」
ハットが最後に祖母にあったのは、ローゼンとの修行があけてすぐの時だけだ。ハットは祖母が優秀な預言者で術師だということは知っていたのだか、祖母アンナはハットにその話をすることは無かったのだ。
「…いえ、なにも…」
ハットはこう答えるしかなかった。
「グランドドラゴンが、本来の姿に戻ってしまうのニャ! 半年後なのニャ!」
ハットは愕然とした。今でさえ相当な強さを持っているグランドドラゴンが本来の姿に戻る。どれほどの強さになるのだろうか。
「今の3倍では効かないのニャ。はっきり言って、お手上げなのニャ…」
「それに、戦うのは今いるこの3人だけなの。みんな、世界を守りたくないのかしら」
「だからそうなる前にニャ! グランドドラゴンを倒すのニャ!」
「いえ師匠…たった3人で倒せるはずが…」
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