2人が本棚に入れています
本棚に追加
修行中の出来事
「女神様、250才でしたか…」
ハットが、―やっぱりそうだったのか…― という顔でミルキーを見た。
「でも私なんてまだまだ子供よ。お父様って3000才だもの…」
「…はあ…やっぱりヒューマンとは全然違いますよね…ところで師匠はおいくつなのですか?」
「ボクは130才。猫族の平均は200才だけど、ボクはちょっと違うんだニャ」
星になったはずだがなぜか戻ってきたローゼンが、魚の塩焼きを食べながら答えた。
「どういう風に違うのでしょうか…」
不思議そうにハットが聞いた。ローゼンの代わりにミルキーが答える。
「このバカ師匠はね、ファーストトランサーなの。厳密に言うと原種の始祖の生まれ変わりね。お父様に聞いたけど、猫族としては初めてなんだって。ドワーフとエルフの今の王はファーストトランサーらしいけどね。だから多分、同種の倍は軽く生きると思うわ。それに異様に身体が小さいでしょ? でも能力は同種の数倍。そして、原種の猫にすごく近いの。今の獣人族の能力ってほとんどヒューマンと変わんないからね。この猫、もう一度、星にしてみようかしら。多分問題ないと思うから…」
「そういうことだニャ!」
ローゼンはミルキーにはお構いなしで陽気に答える。
「師匠。女神ミルキーのパワーが計り知れないことはわかりましたが、前衛に?」
修行中には、作戦会議も行なわれている。だが、作戦といった作戦は無く、ほぼ肉弾戦だったのだ。
「んニャ、前衛はボクとハットだニャ。ミルキーは後衛で魔法支援だニャ。ミルキーは足が遅いのニャ」
「でもあのパワーは捨てがたいですよ」
「そうだニャ。ボクもそう思うんだけどニャ。でも、当たらないと意味がないニャ。グランドドラゴンの動きは異常に速いニャ。でも、チャンスがあればミルキーの物理攻撃もありニャ!」
ローゼンは、修行で疲れ果てたミルキーのまわりをぐるぐると駆け回り始めた。ミルキーはローゼンの行動にイライラした顔になっている。そして…
「でりゃあ!」『ダァ―――ンッ!!』『ヒュ―――…』
ミルキーの回し蹴りがローゼンに偶然ヒットし、ローゼンはまたもや星となって消え去った。
最初のコメントを投稿しよう!