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「ローゼンにはレイピアとショートソード、それに短剣、投げナイフ2千本…」
ミルキーは神殿に帰ってきた。神殿内にある武器製造に携わる女神、ウェラージェンカに会いに来たのだ。
「ハットには、両手剣を。全長170センチで絶対に折れないものを。少しくらい重くても、彼なら十分に振れるから」
ミルキーは真顔でウェラージェンカに語りかけている。その顔に向かって、ウェラージェンカが問いを投げかける。
「なあに、ミルキー。ヒューマンにご執心なの? ヒューマンなんて奴隷と一緒じゃないの」
ミルキーは勝ち誇ったような顔で、ウェラージェンカに向かって笑顔で返す。
「これを御覧なさいな…」
つい最近、ハットを隠し撮りしたものと、今回ミルキーがローゼンに釣られもらった写真が数枚ある。
鍛治の女神たちがぞろぞろと寄って来て、一斉に黄色い声をあげたのだ。
「ほら御覧なさい。すばらしいでしょ、ハットって!」
ミルキーが自慢話をしようとした直前、鍛治女神たちは作業を始めた。ミルキーは勝ち誇ったような満面の笑みになっていたのである。
「これ、女神ミルキーが…いいんですか、使わせてもらっても…」
ハットは感動仕切りだった。そして何度も何度もペコペコとミルキーや女神たちに頭を下げた。
今回、ハットの剣を打ち上げた鍛治女神たちも同行して、ハットを憧れの眼差しで捉えている。
鍛治女神五人でやっと抱え上げられた両手剣をハットは軽々と片手で持ち上げ、素振りを始めた。
凄まじい剣風で、おめかしした女神たちのドレスを巻き上げた。
「うらやましいニャ、ハット。ボクにはないものをもっているニャ…」
ローゼンが独り言のようにつぶやいた。
「アンタはパワーだけはヒューマン並だからね。攻撃補助魔法、ガンガン飛ばしてあげるわ!」
ミルキーは初めてローゼンに優しい言葉をかけたのであった。
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