第3章 夏合宿1日目

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もう一人、立ち続けている生徒がいた。 キャプテンの詩織だ。 「詩織、あなたはキャプテンと言う立場なのに、靴を脱ぎっ放しにしたよね。 それに、私が電車の中で10日間の計画を考えたり、宿や剣道場の手続きの資料を読んでいる間、詩織は他の部員と一緒にお喋りをしたり、メールを送っていたよね。 剣道をやる気はあるの?キャプテンの自覚がないのなら、今すぐ帰りなさい!」 「失礼な態度をとってすみません。やる気はあります!剣道をやります!」 「キャプテンなんてやめれば!?誰も詩織なんかについて行かないよ」 「キャプテンをやらせて下さい」 「礼儀もない、剣道への熱意もない、後輩の指導は出来ない。そんな子をキャプテンして強くなると思う!?詩織なんかがキャプテンしていたら、この部はどんどん弱くなるからね!!」 普段は、どんなに厳しい稽古をしても涙を見せない詩織。 だが、キャプテンとしての自覚の無さを後輩の前で厳しく叱責され、目に溜めていた涙が溢れ頬を伝う。 ここで甘やかしてはダメだ。 一番上と一番下、この部活で言えば、詩織と加奈に対して徹底的に雷を落とすことで、合宿初日から全員に強い緊張感や競争意識を持たせ、日本で一番汗臭い女子剣道部を作り上げるのだ。
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