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「子供じゃないんだから、早く泣き止みなさい!強くなりたいんでしょ!」
「は、はい・・・」
「返事は1回!何度言わせればわかるの!?」
「はい」
「ところで、加奈の防具や道着、全然汗臭くないよね。一生懸命練習すれば、すぐに汗臭くなるはずだけど、手を抜いてるって事よね」
私はわざと意地悪く聞いた。
「そんな事ないです。一生懸命練習してます」
「本気で稽古しているなら、防具や道着がそんなに綺麗な訳ないでしょ!
みんな汗まみれになって、必死で稽古しているの!初心者だからって甘えるんじゃない!」
また大粒の涙を流す加奈。
「もしかして、加奈は汗臭いのが嫌なの?恥ずかしいの?」
「そんな事ないです。臭くても恥ずかしくないです」
「本当に心からそう思っている?
毎日毎日汗まみれになって、面も小手も道着も、自分自身も汗臭くなるんだよ。
同級生たちが遊んだり、恋愛を楽しんでいる時に、臭くてキツくて厳しい剣道を必死にやる覚悟はあるの!?」
「あります!必死に剣道をやりたいです」
「分かった・・・。みんなも聞いたよね、加奈の覚悟。
今年の夏は‘日本一汗臭い女子剣道部’を目標にする。
そして、‘私は日本一汗臭い女子剣道部顧問’を目指すし、
みんなはそれぞれが‘日本一汗臭い女子剣道部員’を目指す事。
防具も道着も部員も私も、みんなで日本一汗臭くなって、体から湯気を出そう。
分かった!?」
「はい!」
部員全員の声が揃った。
この30分で見せた私の本気に、生徒たちは覚悟を決めたようだ。
これで、この10日間は思う存分、生徒たちを汗まみれに出来る。
私は心の中でガッツポーズした。
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