155人が本棚に入れています
本棚に追加
もう一人、立ち続けている生徒がいた。
キャプテンの詩織だ。
「詩織、あなたはキャプテンと言う立場なのに、靴を脱ぎっ放しにしたよね。
それに、私が電車の中で10日間の計画を考えたり、宿や剣道場の手続きの資料を読んでいる間、詩織は他の部員と一緒にお喋りをしたり、メールを送っていたよね。
剣道をやる気はあるの?キャプテンの自覚がないのなら、今すぐ帰りなさい!」
「失礼な態度をとってすみません。やる気はあります!剣道をやります!」
「キャプテンなんてやめれば!?誰も詩織なんかについて行かないよ」
「キャプテンをやらせて下さい」
「礼儀もない、剣道への熱意もない、後輩の指導は出来ない。そんな子をキャプテンして強くなると思う!?詩織なんかがキャプテンしていたら、この部はどんどん弱くなるからね!!」
普段は、どんなに厳しい稽古をしても涙を見せない詩織。
だが、キャプテンとしての自覚の無さを後輩の前で厳しく叱責され、目に溜めていた涙が溢れ頬を伝う。
ここで甘やかしてはダメだ。
一番上と一番下、この部活で言えば、詩織と加奈に対して徹底的に雷を落とすことで、合宿初日から全員に強い緊張感や競争意識を持たせ、日本で一番汗臭い女子剣道部を作り上げるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!