拝啓

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 我々の仕事で扱うものは、そう、個人情報だ。  今の世の中、それが漏洩することは大事件として報道される。殺人を差し置いてトップニュースになることもあるほどだ。  だのに! 何故ここの会社は部内の秘密を守る為の防犯扉を開け放しているのだ!  これでは、「どうぞ見て言ってね」と言っているようなものではないか。  本来は、レモンのようなたかがアルバイトも含め、全社員が登録している魔力を認証させることで扉が開き、各部を行き来するのだが。どうやらそう思っていたのは私だけのようだ。コンプライアンス違反で捕まってしまえ。  さて、レモンは今日が初めての独り立ちなわけだが……よしよし。ちゃんと悩んで仕事をしているようだ。そうやって悩んで、皆立派になるのだからな。 「アメちゃんどっち食べようかなぁ。メロン味? それともイチゴかなぁ? やだぁ迷っちゃうー」 「……貴様みたいなレモンは私が食ってやろう」 「あ! レモン味もいいよねー……ってセッちゃん!?」 「事務室に私物は持ち込み禁止と、私は教えていなかったかな?」  言いながら、この脳足りんの頭に拳骨をお見舞した。 「いったあああああい! パワハラ!」
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