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鎧袖一触。
さながら暴風雨のように敵を蹂躙した、まではいいが、肝心の助けた少女は何処にも見当たらない。
理由は簡単だ。
「………クソヤロウをブッ飛ばした後、声かけたら逃げられた」
正に脱兎のごとく。怯えた少女は短い悲鳴を上げ、獅子(リン)から逃げだしたのだった。
「ーーあっはははは!さ、流石リンちゃん!ひ、ひー!助けた相手に逃げられたって!ヒーローなのに!ヒーローなのに逃げられた!!あっはははは!」
「うるせ。いんだよ別に。感謝されたい訳じゃねーんだからよ」
「いやいや、今度から仮面ライ○ーのお面でも被ってやってみよう!見た目さえマトモなら……あ、でもリンちゃんちっちゃいし、似合わないかな?」
「胸を見ながら言うんじゃねぇ!身長だよな?背がちっちゃいから似合わねぇんだよな!?アアン!?つか、仮面ラ○ダーは男だろが!!元々胸はねぇよ!!」
「じゃ、プリキ○ア?」
「ハッ、ガラじゃねーよ」
学校指定の紺色のスカートを返り血で赤黒く染める少女は、フリルのついた愛らしいドレスには憧れない。
しかし
『一姫当殲(リーガルネロ)』が、『魔法少女』となるのは
僅か数時間後の話だった。
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