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 平政に背中を押され、勇気を出し紫村咲姫の座るベンチにそろそろと近付く助清。  ターゲットまで15メートル。13メートル。10メートル。近付くにつれ高鳴っていく心臓の鼓動。  そして二人の距離が5メートルに差し掛かったその時、 ヒュウゥゥ……  助清から紫村咲姫に向け風が吹いた。  すると紫村咲姫は何かを感じたのか急に立ち上がると、助清とは反対方向にスタスタと早歩きで立ち去って行ってしまった。 「…………」  一人取り残された助清の元に首を傾げた平政が歩み寄る。 「お、おっかしいな。急に用事でも思い出したのかな?」 「平政……。いくらニンニクが好きだからってやっぱこの臭いは無いって」 「ぐわっ! 臭っ! こっち向いて喋んな!」  結局この日作戦は失敗し、次回に持ち越された。
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