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 平屋二階建ての助清の家。その扉の前で茶髪の男が紙袋を携え扉が開くのを待っていた。 「ママさん、こんちゃーっす。助清いるっすか?」  このチャラそうな男は助清の友人、“赤木平政(あかぎひらまさ)”。  今は別々のクラスだが、一年生の時助清と同じクラスで席が前と後ろで近く話す機会もあり(主に猥談ばかりしていた)すぐに親しい仲となった。 「あら平政君いらっしゃい。ごめんなさいね。助清は今買い物に行ってるの。すぐに帰って来ると思うけど」 「あ、そすか。じゃあ中で待たせて貰うっす」  靴を雑に脱いで家の中に入ってすぐ真正面にある階段を上ろうとするも、平政は助清母に「あ、待って」と呼び止められた。 「助清ったら最近、外出する時は必ず部屋に鍵をかけてるの。リビングで待っててくれる?」 「あ、そうなんすか? まあ思春期っすからねー」 「ヤダわ。平政君だってそうじゃない」 「いやいや、俺は中学で終わりましたから」  そう言う平政だったが、手にしていた紙袋の中には助清に貸すために持ってきた大人向けの本がギッシリと入っていた。
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