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気配を察した平政は恐る恐る振り向き、背後で小刻みに震える友人に声を掛けた。
「助清……これは……」
「…………見たね」
ポツリと呟いたかと思った次の瞬間、
「やめてやる……。もうお前と友達やめてやるうぅうぅぅ!!」
まるでヒステリックを起こした女性のように声を荒げ泣き叫ぶ助清。
「ちょ、落ち着けって! 勝手に部屋に入ったのは悪かった! だけどこれくらいで友達をやめるのは大袈裟だぞ!」
「これくらい!? 僕にとっては今すぐ切腹したいくらいの屈辱だぞっ!」
「別にお前を馬鹿にしたり軽蔑するつもりはねえって! むしろ応援する!」
ガッシリと両肩を掴み、取り乱す助清を無理矢理押さえ込むと、平政は真顔で問いただした。
「好きなんだよな。紫村咲姫のことが」
次第に落ち着きを取り戻し、俯き加減になる助清。
「でもどうしたらいいのか分からないんだよな。なんせお前、シャイだし、女に免疫無いし、むっつりだし。気持ちを伝えたくても遠くから見ているしかできないんだよな」
青ざめていた顔が徐々に赤みを帯びていく。
「俺に任せとけ。もう遠くから指をくわえて眺めなくていい。ストーカー紛いな行為もしなくていい。必ずお前を紫村咲姫に近付けてやるよ」
「平政……。どうして、そこまで」
再びポンと肩を叩くと、平政は歯を見せ笑顔で答えた。
「決まってんだろ。俺達、友達だろ」
かくして、平政による助清と紫村咲姫の仲を取り持つための作戦が始まるのだった。
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