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翌朝、珍しく始業時間ギリギリに出社してきた山崎。 「おはようございます」 と少し緊張ぎみに挨拶をしても、 山崎は目も合わさずに、 「おはようございます」 と言うと、 斜め向かいの居室のデスクに座り、その後すぐに朝礼が始まった。 室長が、連絡事項を読み上げる中、朝会の配られた報告資料に一通り目を通した後、 斜め向かえに座っている山崎の方を見ると、白衣の胸元のポケットに刺さったボールペンを取り出して、何か書き込んでいた。 朝礼が終わると、全員が、標本作製室や鏡検室などの持ち場に移動して、作業を開始する。 同期の祥子も、ペアの後藤さんと一緒に居室を出て行った。 非臨床試験の案件を受け持っていない私だけが、居室に残り、山崎の指示を待つ。
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