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いつも、朝礼の前に、朝一やることを指示されていた。
山崎のお手伝いと言って良いのか、雑用と言っていいのか、そんなことを指示されて、みんなと一斉に居室を出ていくところが、
今日は、いつもより遅れてきた山崎から、まだ指示を受けていないのに、
朝礼が終わると同時に、山崎が室長に呼ばれて5つ離れた席まで行ってしまい話し込んでいる。
一人で、席に座ってるのも変な気がして、席を立ち、向かえの山崎の隣の席まで移動したところで、目線をこちらを向けた山崎と、今日初めて目が合った。
目線はこちらを向いているのに、顔色一つ変えずに、
「はい、はい」
と、室長の話に数回頷いたあと、
「…じゃあT社の試験の方を先にあげてから、この二人に担当入ってもらいます」
と、紙を指して言う声が聞こえて、
室長が、
「宜しく、頼むね!」
と、言うと話が終わって、こちらへ一歩、二歩と歩いてきた。
「悪い、中川、先に包埋室行って昨日言った包埋するやつ、カゴにセットするとこまでやっといて。って、そこまでできる?」
そう言って、近づく前に、席に立っている私に向かって指示を出した。
「はい…」
返事をすると同時に隣まで来て、
「直ぐ行くから」
とすれ違いざまに言って、そのまま通り過ぎて行った。
その後ろ姿を、追いかけるようにして、居室を出ると、山崎は、薄切室へ入っていき、私は包埋室へ向かった。
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