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手首を掴んでいた手を離された反動で腕がぶらんと下りかけたが、 はっ!っとして、今押したボタンを忘れないうちに、ノートに絵で描き示して、補足も書き加えた。 それを覗いた山崎は、私が書いた補足を読み上げる。 「下…スタートの右下、三角ポチ…。」 フッっと笑った。 何故笑うの? そう思って、山崎を見上げると、 「もしかして機械オンチ? そんなんじゃテレビの録画も出来ないんじゃない?」 馬鹿にされたんだって気付いて、カッーと、違う意味でまた顔に熱を持つ。 「録画くらいできますっ!」 少し強気で言い返した。 「じゃ最後は?」 ノートを指差して、下ボタンと書かれた次のボタンを指差した場所を見ると、 【スタート】で、セット完了、 と書かれていた。 「ここです!」 今度は、自信たっぷりに言って、スタートボタンを指差すと、 苦笑いと言う言葉が一番近いような微妙な顔で、 「うん。」 と返され、ピッと言う機械音を鳴らした。 「覚えた?」 「はい!あ、いえ、ノート見たら次は一人で出来ます。」 「そう。じゃあ、明日の朝、機械から上げる時、また続き、完了の仕方、一緒にやるから。」 「お願いします。」 「完了は、今から20時間後。じゃ、行くぞ。」 そう言われて、 「はい。」 って流れで返事して、包埋室を出て行く姿を追いかけるものの、 行くって次は何するの? まだ聞かされぬまま、山崎の歩く背中を追いかけた。
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