37人が本棚に入れています
本棚に追加
手首を掴んでいた手を離された反動で腕がぶらんと下りかけたが、
はっ!っとして、今押したボタンを忘れないうちに、ノートに絵で描き示して、補足も書き加えた。
それを覗いた山崎は、私が書いた補足を読み上げる。
「下…スタートの右下、三角ポチ…。」
フッっと笑った。
何故笑うの?
そう思って、山崎を見上げると、
「もしかして機械オンチ?
そんなんじゃテレビの録画も出来ないんじゃない?」
馬鹿にされたんだって気付いて、カッーと、違う意味でまた顔に熱を持つ。
「録画くらいできますっ!」
少し強気で言い返した。
「じゃ最後は?」
ノートを指差して、下ボタンと書かれた次のボタンを指差した場所を見ると、
【スタート】で、セット完了、
と書かれていた。
「ここです!」
今度は、自信たっぷりに言って、スタートボタンを指差すと、
苦笑いと言う言葉が一番近いような微妙な顔で、
「うん。」
と返され、ピッと言う機械音を鳴らした。
「覚えた?」
「はい!あ、いえ、ノート見たら次は一人で出来ます。」
「そう。じゃあ、明日の朝、機械から上げる時、また続き、完了の仕方、一緒にやるから。」
「お願いします。」
「完了は、今から20時間後。じゃ、行くぞ。」
そう言われて、
「はい。」
って流れで返事して、包埋室を出て行く姿を追いかけるものの、
行くって次は何するの?
まだ聞かされぬまま、山崎の歩く背中を追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!