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やっとのことで、椅子から立ち上がって、山崎を見上げると、眉間にはシワがなくて、少しだけ笑っているように見えた。
この男が、嫌いだったときは、この男が怖くて怖くて、目の前にいるだけで身体が固まってしまっていた。
でも、ドキドキが止まらなくて、好きなんだって気持ちに気づいても、やっぱり私は、この男の前では固まってしまう。
気持ちを伝えたところで、拒絶されたり、
もっと近づきたくても、突き放された時のことを思うと、
この距離を変える方法が分からない。
そもそも、この男には、今、大切にしてる人がいるのかとか、そんな事も知らない。
“彼女いますか?”
なんて突然聞いても、きっと、「はっ?」って睨まれるだけに決まってる。
真相なんて聞けないだろうし、
「いる」と言われても、「いない」と言われても、何も変わることなんて出来ない。
ただ、もっと知りたい、それだけなのに、仕事以外のことを会話したことが無い、
それが、この男と私の距離。
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