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聞かれた私は首を横に2往復させて、 「…朝の天気予報、雨になるなんて言ってなかったですよ…」 手に持ったビニール袋をバック代わりにしてることが、見られて恥ずかしくなり、思わず後ろに隠した。 「俺も傘ないから、ここで待ってて、車寄せるから」 「え?…」 理解する前に、玄関の硝子扉がしまって、振り返らずに、雨の中、走って行った山崎は、駐車場の角を曲がると姿が消えた。 靴を履き替え、玄関扉の外へ出て、入口の屋根の下で、 「えっと…待っててってことは…。こういう時どうしたらいいんだ?」 独り言を言っていると、見覚えのある黒い車が近づいて目の前に停まった。
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