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手ごたえはあった。
けれど、
私の思い描いたようには
ならなかったらしい。
なにもかもぜんぶ
私の望んだようには
ならないことくらい、
いやというほど
知っているけれど。
こんなに悔しい思いは、
久しぶりだ。
「なん……なんで……
どうして……」
赤く染まった私の手は、
一回り大きな手に
掴まれてしまっていた。
その手を
あたたかく感じてしまうのは、
単に私の手が
冷え切ってしまっていたせいなのか、
……彼の気持ちのせいなのか。
考えなくてもわかる現実に、
私は思わず泣きだした。
「杏さん……落ちついて。
わかってる。
わかっているから」
耳元に落とされる
おだやかな声は、
桃さまのものだ。
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