俺の事情と彼女の事情

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あいつ以外の女性を乗せたことの無かった助手席。 そこに別の女性が座ることなんて考えられなかった。 乗せることももちろんだし、 人の多いこんな場所で、真昼間に、外で、手を握って告白するなんて、 以前の俺じゃ想像もつかないくらいの大胆な行動だ。 でも、なんでかな。 自然と、 今言っておきたいって、 そう思ったんだ。 君を見習って、 包み隠さず照れず、 ちゃんと伝えよう、と思ったんだ。 「腹減らない?」 「空きました」 「だよな、うん。行こうか?」 「はい!」 「じゃあ、しゅっぱーつ!」 繋いだ手を大きく前後に揺らしながら、 門をくぐり抜け、美味そうなニオイを辿って、 俺らは中華街を満喫して回った。
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