俺の事情

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コンコン。 会議室のドアを叩く音でハッと我に帰った。 「はい」 返事と同時に顔を出したのは中島だった。 その、日焼けをしてないシュッとした顔を見てすぐに自分の腕時計に目をやると、カフェへ出向く予定していた時間になっていた。 「目黒さん、話の途中で申し訳ないんですが、ちょっと早めにうちの店でランチをと思ってたんですよ。いかがですか?」 「お店、へ?」 「はい。現状を見ておいてもらえたらと思いまして」 「八神常務。あの、わがままを言っていいですか?」 「はい?」 「デリバリー出来ます?」 「へ?…あ、はい、出来ますが……」 「移動時間が勿体無いです!」 「……そ、そうです、よね…」 会話を聞いていたであろう中島を見ると、わかりましたと頷き、部屋を出ていった。
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