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一滴、一滴。
バカになった蛇口から零れる
水滴みたいに。
ギュッと止めても、固く締めても、
それは少しずつ落ちてくる。
今でも。
毎日。
どこにいても。
何をしていても。
落ちた水滴と、
その瞬間の小さな音にハッとして、
これ以上零れてしまわないようにまた強く蛇口を捻る。
もう『水』なんて、要らない。
そう思いながら強く、強く。
これ以上あいつへの想いが零れないように、
強く、固く。
その繰り返しの日々だった。
でも、もしかしたらさ…
ううん。
本当はわかってる。
人は『水』無しじゃ、
生きてはいけないってこと。
彼女の存在が、
それに気づかせてくれるまでの、
俺の事情(ものがたり)。
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