俺の事情

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一週間後の火曜日、午後。 彼女が持って来た店の名前はそのままにロゴやカラーを一新したラフ画は、 俺がニューヨークでふらっと立ち寄った店の雰囲気を持った、暖かみのあるものだった。 「すっげーいいね、これ」 心の声がそのまま漏れた捻りも何もない俺の感想に、 彼女もまた“よかったぁ!”と子供のように喜びの声を上げ顔をホクホクと綻ばせる。 「こうなるとアレだな……2階のサロンの装飾も手を入れたくなるね」 「実はそう仰ると思って、これを描いてみました」 「お!マジ?見せて見せて」 ついテンションが上がって砕けた物言いに、彼女がクスッと笑う。 2階のネイルサロンのインテリアは、清潔感を保ちつつカフェと統一させたもので、ラフ画と一緒に簡易的な見積りも添付してくれている。 「さすが……俺のツボをわかってる!」 「ありがとうございます!」 なんか、いい。 仕事をする上で、 波長が合うというか、こうしたいなと思った時に同じように思う、察してくれる、という人物は滅多にいない。 彼女が秘書だったら仕事ももっと捗るかなと言ったら、現在頑張ってくれてる中島に悪いかな。
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