133人が本棚に入れています
本棚に追加
一週間後の火曜日、午後。
彼女が持って来た店の名前はそのままにロゴやカラーを一新したラフ画は、
俺がニューヨークでふらっと立ち寄った店の雰囲気を持った、暖かみのあるものだった。
「すっげーいいね、これ」
心の声がそのまま漏れた捻りも何もない俺の感想に、
彼女もまた“よかったぁ!”と子供のように喜びの声を上げ顔をホクホクと綻ばせる。
「こうなるとアレだな……2階のサロンの装飾も手を入れたくなるね」
「実はそう仰ると思って、これを描いてみました」
「お!マジ?見せて見せて」
ついテンションが上がって砕けた物言いに、彼女がクスッと笑う。
2階のネイルサロンのインテリアは、清潔感を保ちつつカフェと統一させたもので、ラフ画と一緒に簡易的な見積りも添付してくれている。
「さすが……俺のツボをわかってる!」
「ありがとうございます!」
なんか、いい。
仕事をする上で、
波長が合うというか、こうしたいなと思った時に同じように思う、察してくれる、という人物は滅多にいない。
彼女が秘書だったら仕事ももっと捗るかなと言ったら、現在頑張ってくれてる中島に悪いかな。
最初のコメントを投稿しよう!