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サロンのラフ画を持ってくる約束の日。
どんな顔して会えばいいかと意識していたのが俺だけだった。
時間通りに来た彼女は淡々としていた。
あくまでもビジネスライクを貫こうとする姿勢は見習うべきだと思うけれども。
ビジネスライクを通り越して、
俺なんてこの場に居るのか?というほどに黙々とデザイン画を並べ機械的に説明をしていき、
事務的に予算額や発注日時を連ねる。
提示されたサロンのデザインは想像通り…いや、それ以上の出来映えで、
あんな電話さえしなければ、思いっきり声を上げて感想を言ってただろう。
「では、それでお願いします」
「畏まりました」
「……」
「あ、次ですが、予定より早く大筋が決まったのでCADに起こす時間を長めにいただいていいでしょうか。あまり得意ではないので。出来たらでいいんですが」
「大丈夫です。なんなら5月アタマでも……あ、そうだ。御社のGWは?」
「メーカー側の休みに合わせてるので、かなり長めに休みとなります。今週中にはお知らせ出来るかと思いますが、早い方がいいでしょうか?」
「いえ。大丈夫です」
「そうですか。では最終週にはデータ化したものをお渡し出来るようにしますので。本日はこれで失礼します」
「あのっ、目黒さん!」
「何でしょうか」
打ち合わせ中に一度も交わらなかった視線が、
帰り際にようやく重なった。
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