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拒絶
困惑
不安
絶望
躊躇
色んな感情が入り混じったその目が俺を見据え、
「何でしょうか…」
そう言い終わって唇をキュッと噛んだ。
「すみませんでした、先日は……」
「いいんです」
「勝手だけども、その、前みたいに接してくれたらって思ってるんだけど」
本当に都合がいい頼み事だ。
半ベソで電話したことも、
彼女からの何となく伝わってきている好意も、
全部を無しにと言ってるんだから。
もちろんそこには芽生えてた彼女への気持ちも含まれている訳だが、それはこの際消えてもいい。
今は互いの仕事を円滑に進めるためにも、彼女とはフランクに何でも意見交換出来る関係でいたい。
だが彼女は違った。
「いや、です」
「へっ?!」
「仕事はちゃんとやります。でも、前みたいには無理です」
「何で………」
「好きだからです」
「す…」
「好きだって、気づいちゃったから、前みたいになんて出来ません」
想像よりも強い女性だった。
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