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「ごめん…」
「“ごめん”以外言ってくださいよ」
それ以外を言え、と言われても、
この状況に相応しいボキャブラリーには限界がある訳で。
「うん、ごめん」
またですか…と、同じ言葉を聞いた彼女は肩を落としてため息をついた。
「その昔の彼女さんにでも電話すれば良かったんじゃないですか?会いたいって言えば会うくらいしてくれた…」
「出来る訳ないだろそんなこと!」
ついカッとなって出してしまった大きな声に一瞬怯んだ表情を見せたけれど、
「なんでですか!」
対抗するように彼女も食らいついてくる。
「目黒さんには関係ない」
そう、関係ない。
関係無いんだから踏み込んで来ないでよ。
関係無いんだから、気にしないでいいんだよ。
「何ですかそれ!関係、めちゃくちゃありますからね!あー、そういう理由ならしょうがないですねってなるかもしれないじゃないですか!
それに私だってこんな風に気持ちを言わなくても良かったんですよ!どさくさ紛れみたいに好きだなんて言ってしまって!本当ならちゃんと仕事を終えて伝えたかったし、それに……もっと可愛く言いたかったのに………」
さっきまでの勢いがシュンとなって、
普通の、ごくごく普通の女の子になる目黒さん。
まぁ、まくしたてる内容の論点がズレてる気もするんだが、
それはそれでなんだかこの人らしい。
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