俺の事情

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うーん。 これは、まさかだけども。 気のせいかなと思いたいけれど。 若干、高橋の顔が赤い。 お祝いのシャンパンのせいか? どうも違う理由のように見えるし、 “親”という聞き捨てならないワードまで出てくる。 「タイミング?」 「えぇ。あー、思い出すと笑えるなぁ。随分と緊張してましたね、優花子、あ、目黒がうちの両親に会った時は。ははは」 これはもう、確実だな。 わかった、繋がったよ。 そうか、そういうことか。 高橋と彼女、は。 何だよ、そうだったのかよ。 「今日もこのあと実家のことで、優花子、あ、目黒がちょっと手こずってまして、申し訳ないのですが本日は欠席となってしまいました」 「目黒さんは?じゃあ、今はそちらへ?」 「いえ。今は事務所にいると思います」 結婚、か。 グズグズしてる間に彼女もかっさわれたってことか。 好きだと気づいて。 今度こそ、と願って。 それなのにまた。 「ははっ」 場違いな乾いた笑い声に、高橋が怪訝な顔で俺を見つめた。 「八神常務?」 「あ、すみません!笑うのは失礼ですよね。おめでとうございます、はちょっと早いですか?」 「えぇ、そうですね。まだまだですよ」 どんぐりみたいな目が静かに弧を描いた。
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