殺人エリートの憂鬱

告白

　ちなみに僕はレイプや強盗も未経験。
万引きどころか友達と喧嘩すらしたことないよ。

　だってさ、僕は生まれながらの凶悪殺人鬼。

　小さなトラブルで僕の中のヤバい血が騒いでカッとなって殺っちゃったらどうするの？

　あーやだやだ！
　僕の初めてがそんないきあたりばったりのダサい殺しなんて身震いしちゃうよ。

　だから僕は自己防衛には抜かりないんだ。
極力、女性の事は見ない。

　性欲の強い血筋だってわかってるし、下手に触れて興奮しちゃって襲いかかったら大変だもの。

　だからさ、当然まだ女の子とお付き合いもしたことがない。

　本当の恋人は殺人バージンを捨てた後でゆっくり見つければいい。僕はね、こう思うんだ。殺人欲と性欲って同じベクトルなんじゃないかって。きっと「あいつセクシーだな、ちょっと犯りたいな」は「殺りたい女」とほぼ同義語なんじゃないかなって。この≪ちょっと≫というニュアンスがすごく重要なわけで、すごくがついたりそれ以外の重要性をもたせた人じゃないと恋人にはなれないと思うんだ。

ってことで、僕はこの先ずっと女の人しか殺さないんじゃないかな。

　　ああ、これは僕限定の話だからね。
　パパもおじいちゃんもひいひいじいちゃんも性別関係なく殺っちゃってたから。

　ふぅ、まったく鬼畜だよね。