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相良 光
俺は25歳の時に莫大な遺産を手に入れた。いくらかって…ビルを一棟買えるほどだ。新宿から電車で15分くらいの立地。
はっきり言えば勢いだけ。それだけでだ。
俺の父親は超がつくほど有名な政治家らしい。でも会ったこともないし、知りたくもない。俺は愛人の子って奴だ。
母親と肩を寄せあって生きてきた。
金はなくても健康で楽しく節約して…それで良かった。
月1で祖父と会っていた。父方の祖父だ。母親は封筒を渡されるのを毎回断っていた。
あれはきっと金だ。
それでも祖父は母親も俺も好きだったのか可愛がってくれていた。
そんな母親も俺が二十歳で病死してしまった。祖父がすべて金を出してくれて俺にはありがたかった。
そんな祖父がなくなった25歳の時、弁護士が訪ねてきて遺産の話をされた。どうやら遺言状があったらしい。
本当なら拒むべきことかもしれないが、俺は父親の悔しがる顔をするならと相続した。知らない人が来て相続をやめるようにも言われたり、なんか脅されたりもした。
バカな大人だらけだ。
カットをするようになりまだ1年…
未熟すぎるが、遺産でビルを買って1階に店を構えた。
無謀だった。
それでも遺産は残っているから店は継続できた。人の金でなんとかしてるって情けなかった。
がむしゃらに勉強して働いた。
飲まず食わずは当たり前……
そんな事をしていたらスタッフは倒れる、辞める。
中にはスタッフ同士で付き合って他とトラブルが絶えなかった。
俺は自分の事で精一杯…。
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