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話終わると翠は俺に言った。
「光さん、渚さんは望んでますかね…」
は?
「奇跡的に目が覚めた時に、光さんが幸せそうじゃないの見たら辛いかも…です。」
―――!!
「分からない…もう渚の気持ちは…」
「はい、運転交代です。俺、まだ死ねませんから。」
強制的に運転を変わられた。
確かに話してボーッとしている。
「光さんが幸せで渚さんって怒る人ですか?」
そんな奴じゃない。渚はしっかりしていて優しくて…
俺の幸せを…………願ってくれていた。
「あ…………き…………俺…」
「はい、帰りましょう。健に話しましょう。幸せにならないと渚さんは目覚めません。」
俺は周平の
葬式以来の涙を流した。
渚…俺、幸せになりたいんだ。
健って奴がさ、俺を救ってくれてるんだ。
「いやぁー貴重なドライブでした。
そして俺、やっぱりカリスマっすねぇー」
俺と翠はそのままUターンして帰った。
俺も単純だ。
いつの間にか俺は渚よりも悲劇的な奴に勝手になっていた。
渚は望んでいないはず。
いや、俺が望んでいない。
健を失うなんて望んでいない。
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