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必要のなくなった古い雑誌で食器を包む。 ボロボロ泣きながら…………。 男一人が食器を片付けて泣くなんてシュールすぎる。 でもやはり、近くにいたらダメだ。 光さんのそばで他に出会いたいとか思えない。 天涯孤独は嫌だから誰かに出会おう。 何年かかるかな…。 意外と早いかな…。 光さんを想った6年は出会わないかな。 リセットしないと。 光さんのパートナーさんはどんな人なんだろう。 そんなに会えなくても絆は深いんだろうな。いや、もしかしたら部屋で会っているんだろう。 知らないことだらけでもう僕には無理だ。 なんで叶わない恋をしていたんだろう。 諦められたのかもしれないし、お金の管理をする前に辞められたかもしれない。 馬鹿すぎる。 どこかでこの人には僕がいなきゃなんて思った事もあった。 でも違うんだ… 「うぅ……光さん…」 ―――――。 ピンポーン…………ドンドン! 「健!開けろ!」 …………!!光さんだ。 「あ、はいっ!」 僕は急いで顔を洗って玄関に向かった。 ドアを開けると…ハァ…ハァって息を切らした光さん。 「どっ!どうしました?」 「疲れた…息切れがひどい…水ちょうだい」 僕は急いで水を持って行ったけど 「…………引っ越すのか?」 あ、段ボール! 「あ、いや、整理していて。でも来年の…」 「嫌だ!俺はお前を手放すなんて出来ない!」 ―――!!!
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