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「でも…………光さん、お相手がいますし。僕はもう……辛いです。」 目を見開いた光さんの顔はあまり見たことないな。 「ごめん。健…本当にごめん。」 謝られた。なんかショックだ。 「あ!謝らないで下さい。僕が勝手に辛くなって教えてもらった恩もあるのに…僕…」 「健!俺はズルい大人だ。 社内恋愛禁止なんていうのは、お前を誰にもとられたくないから…」 ―――はい?え?何? 「そ、それはどういう………」 「もう5年はお前が好きだ。」 「…………え?二股ですか?それはちょっと……」 「は?二股?あ、事実婚……」 それから光さんは渚さんの事を話してくれた。周平さんと渚さんの事。 まさか翠がここまで光さんを動かしたなんて。翠はやっぱりカリスマだ。 「今度、渚にお前を紹介したい。 あ、あのその前に…健ってさ、俺の事…」 僕はボロボロ泣いて 「6年前から…本当に好きでした。」 「かっ!過去形?いや、無理だ。俺はお前をとこにもやらない!」 あ、いや。ちょっ…! 抱き締められたら力がなくなって光さんにもたれ掛かってしまった。 「あの…過去形ではなく、継続してます。その……好きです。」 「んーハッキリ言って俺はもう専門から彼女とかいない。どうしていいか分からないくらい疎くなってしまってだな…」 「ふふふ…僕なんて経験ないですから。26歳の美容師が…」 「じゃ、俺に全部くれ。 ―――健の初めてを全部。」 これは夢なんかじゃない。 僕の初キスはすごく可愛らしいもので二人して笑ってしまった。
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