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後日、光さんのところに手紙が届く。 一緒に読ませてもらった。 弱々しいけど綺麗な字だった。 《光へ お元気していますか? 今まで何度も来てくれてありがとう。 周平の事は聞きました。 でも事故直後、意識があった私は気付いてたの。 周平はもうダメなんだって。 それでも私は眠っている間、何度も周平と会えたの。 早く目を覚ませって言われたよ。 光が悲しんでるからって。 私は周平から離れたくなくて起きなかったけど。 でもね、光の優しい声が聞こえたの。 夢じゃないよね? 素敵な相手がいるんだよね。 それが本当に嬉しい。 心から祝福します。 私は私でリハビリして生きるよ。 もちろん、恋だってする。 今はまだ無理でもいつかはするわ。 だから光、私たちは周平の分まで幸せになりましょ。 微かに聞こえた光の相手の声はすごく優しくてすごく温かかったわ。 どうか末長くお幸せに。            渚》 僕はもう涙が止まらない。祝福するって。 「健………良かった。俺、もう少しでお前を失うところだった。」 「僕も間違えるところでした……」 「んーその…健の初めてをもらいます!」 ―――?! 「ふふっ。僕の許可いるんですね。」 「いや、許可なしでいいならもうとっくにしてる。」 ……顔に熱を感じる。 確かにあの告白から2週間はたってるけど。 「あ、あの…僕、緊張します。」 「ちょ…やめろよ、俺もするだろが!」
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