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僕は部屋に戻るとすぐに洗濯物をまわす。
もう夕方だ。部屋干しにしておこう。
ん?テーブルの上に箱を見つけた。
“大変、お世話になりました。
ほんの気持ちですが、受け取ってください。
蒼井 渉”
“翠と食べてね♪ ウィル”
あ、そうか、昨日ここに椎名ウィルさんと蒼井さんがいたんだよな。
律儀な人たちだ。フクヤのマカロン?
マカロン?フクヤが???
へぇー老舗なのに。なんかわくわくする?
翠さんと食べよう。
お礼のメールを翠さんにしてもらおう。
僕は嬉しくて掃除を軽くしてから洗濯物を干した。
翠さん、もう帰ってきてるかな。
僕は明日の服を持って7階に上がった。
――――――ピンポーン…
トントンと足音が近づいてくる。
翠さんかな、ふふ。離れて一時間半なのにすでに会いたいっておかしいよね。
でも会いたい。
「はーい。」
ガチャと僕の目の前に現れたのは……
「だぁれ?可愛いこちゃん。」
バスタオルを巻いただけのお風呂上がりのキレイな女の人。
「あっ、あ!すみません!僕、翠さんの後輩で……あ、これ、渡しておいてください!」
頭が真っ白になってなぜかフクヤの箱を渡してしまった。
「え?フクヤ?なに~おいしいよねぇ~」
その女の人の後ろから赤ちゃんの泣き声がした。
「あー泣いちゃった!おっぱいかな。じゃ、翠に渡しておくね。」
僕は、はい、お願いしますと部屋に戻った。
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