第1章 クラスメートの幼馴染み

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「乃ー愛っ」 「秀太( しゅうた)君。そっちも今終わったの?」 「あぁ、チャリ置き場乱れすぎててさ」 校舎外の掃除で外履きから履き替えるために下駄箱に居たら、ちょうど同じ外掃除の秀太君が腕をブンブン振り回しながら外から中に戻ってきた。外掃除と言っても裏庭の落ち葉集めに比べたら秀太君のいる班は駐輪場の掃除、整理なので疲れるのも分かる。 うちは自転車通学、通勤だと指定のシールを貼らなくてはいけなくて教師と生徒、学年別にシールが配布される。そしてそのシールと同じマークのところに停めるのであるのだけど、事実守ってない生徒もいるらしい。それを見つけてしまうと掃除してる人は鍵つきであろうが指定の場所に戻さなくてはいけない。掃除は掃除でも労働力が違う。 「お疲れ様」 「乃愛も。浩史の呼び出し?」 「うん。ビックニュースがあるとか」 「そ、千夏がすげー形相で走ってきてさ」 「そのまま抱き付かれなかった?」 「……今回は腹へのタックルでした…」 あー…と言葉を濁すしかない。 秀太君と千夏のコミュニケーションの取り方は少しだけ独特といっても間違いではない。毎回何かしらのちょっかいを出している。正面や背後から抱き付いたり、タックルしたり目隠ししたり…秀太君が可哀想だと思うほど。 「乃愛はいいよなー女同士でも抱きつかれなくて」 「きっとやりがいがないの」 「…失礼」 「え…なに!?」 後ろから急に抱き付かれて、大声を出してしまった。 「うーん、俺には小柄な乃愛は抱きづらいって事は千夏もやりづらいか。アイツ女のわりにでかいしな」 「しゅ、秀太君、は、はなし…」 抱き付かれて混乱して上手く口が回らないが秀太君の耳に届いてもいない。いや、届いたとしても気にならないのかもしれない。いつも千夏とこんなことばっかやってるから何にも抵抗はないんだろう。 でも私は慣れてない。こういうときにどうしていいかもわからない。
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