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「?乃愛?乃愛ちゃーん?」
うっすらと声が聞こえる。きっと秀太君が何かを話し始めたのだろう。しかしそれが何を言っているのか分からない程、頭が混乱している。
「こぉらぁ!秀太!乃愛が困ってんでしょうが!離れなさぁい!トォ!」
「グハァッ!」
私からは見えない秀太君の後ろから千夏の声が聞こえ理解する頃には勢いよく秀太君の腰に蹴りをいれた。その衝撃で私は投げ出されるような形で尻もちをついた。
「もう、なにしてんのよ。乃愛立てる?」
「玲子!」
目の前にスッと影が出来ると同時に玲子が立って手を差し伸べてくれた。目の前に立ったのは千夏と秀太君の悪ふざけから守るためだろう。
「うん。今立…」
「乃愛ってこういうのも駄目?苦手?」
「浩史君?や、やだ…っ!降ろして…っ」
玲子の後ろからひょっこり顔を覗かせたかと思うと、気がついた時には後ろに回り込み、立つ手伝いをしてくれるかと思いきや抱っこされ何故かクルクルと回り始めた。アハハッ!と豪快に笑っている。私はまた頭が混乱し、落とされない為に腰に回っている浩史君の腕にしがみつくのに必死になった。いつ止まるのか、いつ落とされるのかヒヤヒヤしている状態なのだから。
廊下に5人もいるのはとても賑やかで気持ちがいい。
だけど、これはまた別の話。とりあえず降ろしてもらいたい。
「浩史っ!秀太、浩史をやめさせ…ってちょっと!!」
「おらおらおらー」
「おー!秀太にやってもらうともっと高いー!」
玲子が千夏と秀太君を引き連れて止めに入ろうとすると、案の定2人が同じ状態で盛り上がっていた。
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