2章 血は蜜の味

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・ 「旦那様、お帰りなさいまし」 城に着くと大きな扉が独りでに開き中から細身の初老の男が声をかける。 見た感じ、60半ばのそのご老人は品の良さそうな雰囲気を醸し出していた。 声をかけてきた老人にグレイは用を言いつける 「モーリス! この娘を寝室に連れていけ」 グレイは言いつけるなりルナのアゴを摘み上向かせる 「じき、聖水の効き目も切れるだろう‥ たっぷり抱いてやるから大人しく待ってろよ」 グレイはそう言うと黒いマントをひるがえし奥の間へ消えていった 「では、奥様‥ 参りましょう」 「──!?ゎ、私っ奥様なんかじゃ!!」 「ほほっ‥あのグレイ様が見初めたのですから、そんなにご謙遜されることはございません。 ‥それからわたくし、執事のモーリスと申します。 では、参りましょう」 執事はにこやかに語ると有無を言わさずルナを寝室に連れていく。 見た目はまったく普通のお爺さん‥だが、やっぱり彼も魔物だった‥ 抵抗するルナをモーリスは魔力で部屋まで誘導する。フラリと歩き出す自分の躰に戸惑いながら、ルナは赤い絨毯を敷き詰められた廊下の窓ガラスに姿の映らぬ執事にハッと気づいた
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