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『校長の鞭打ち三回とする』  掲示板に張り出された紙を見上げ、寮内の者達が口々に騒めいている。今回の騒動は4th(中学三年学年)をLower6th(高校2年生)が不当に罵ったというものだった。  鞭打ちは非常に痛い体罰だった。  16歳のEthelbert・Metcalf(エシルバート・メトカーフ)は、House(全寮制学校の宿舎)の校長が持っている鞭が細長く、1.5m程もあることを知っていた。それは通常の鞭よりも細くしなやかで長く、彼は尻を狙って打つが必ず腿や膝裏にも悲惨な跡を残した。打たれた者はその痛みに食堂の椅子に座るのも躊躇い、夜は痛み止めを飲んで眠ることになる。  しかも、校長は65歳になろう年齢で、生徒を罰として打つ時は、テーブルにうつ伏せにさせると助走をつけて、思い切り空気をうならせながら打つのだ。大概は、三回。  罰則に対して厳しい私学の全寮制学校は、タバコや酒は猶予も無しに退学。喧嘩や集団生活のトラブルにはむち打ちの習慣が根強く残っていた。  エシルバートはトラブルを起こしたことが無い。一度も鞭に打たれたことがないため、その痛みに慄いたことが無い。だが、校長室を訪れた際壁際に国旗の如く飾られたこの鞭を見た瞬間から
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