ex.1

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忘れることが出来なかった。  途中編入生として訪れた彼が、鞭を見て凍り付いたのを見ると、鷹揚に校長は笑った。 「悪いことをしなければ打たれることはないのだよ。君は特別な生徒だ。鞭に打たれると言う様な不名誉なことは、勿論ないと信じているよ」  はっと現実に立ち返り、彼はそっと花のような笑みを浮かべた。彼の外見は、一つも残らず整っているが、整いすぎているが故にどこか作り物めいて生物の匂いがしなかった。シメントリーは魅力であるが生物としての人間から遠くなる。  人形の様な金髪に、遠く透き通るような銀の瞳がアイスブルーとなって煌めいている。そこに笑みが加わるとやっと、人のような血の匂いがする不思議な面立ちだった。  魅力的とするよりも、彼は一種美しすぎるが故に異相でもあった。人を引き寄せるよりも遠ざける。 「はい。ご期待に沿えるよう努力いたします」  謙虚な姿勢は、校長に好感を与えたらしい。笑むと満足そうに頷いた。  編入してから3ヶ月。エシルバートはあの鞭が打たれると懲罰者が決まるたびに、下腹の奥がずくりと疼く気がする。  裸の尻を思う様に打たれたあの熱い衝撃を思い出し、自分の体内に異物を埋め込まれ
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