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翌日は六時半に喫茶店に寄った。
伊月さんの姿はなく、琉斗の迎えに行っているとのことだった。
「どうじゃトキ、仕事は」
まだ営業中だが、客は少ないのでマスターは食器を拭きながら、時々僕に話を振った。
「ボチボチ。可もなく不可もなく」
「転職は?」
「んー、するにしても、すぐにはしないから。まだ保留してる」
窓際の席にティーカップとコーヒーカップが残っている。
わりとさっきまで、あの老夫婦がいたようだ。
「……マスター、伊月さんいつもと変わりなかった?」
「いつも通り元気やったけど? なんかあったんか?」
「いや、あー……風邪引いたっぽかったから」
「そんな話聞いてないけどな。じゃけど、あの子無理するとこあるけんな、気ィ付けといてやらんといかんな」
伊月さんと琉斗が戻ってきた。
しかし、あからさまに琉斗が暗い。
伊月さんも珍しくムスッとしていた。
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