8 coffee

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「お迎えに上がりましたけど、シンデレラ」 「お迎えったって、まだ仕事あるんだけど」 「琉斗は?」  僕の声を聞きつけたのか、琉斗が奥から現れた。 「とっくんだー。とっくんも髪切ったの?」  サンドの用意をしていたマスターがこちらに目を向けた。 「あっ、なんか感じ変わったと思ったら、伊月ちゃんもトキも髪切ったんか。なんじゃ一緒に行ったんか?」 「えっ、あ、まあ、成り行きで」  マスターは「そうか、そうか」となにやら嬉しそうに微笑む。 「やっぱりこの店はキューピッドじゃな」  そう言って、モーニングを運んできた。  サンドにケチャップでハートマークが描かれている。  マスターがやったと思うと気味が悪い上に、蛇足以外の何物でもない。 「この店が潰れんでやっていけるんは、お客さんのおかげでもあるけど、ジンクスがあるけんじゃで」 「ジンクスぅ?」 「ここに通った客はここで出会った人と結ばれる」 「今思い付いただろ、それ」 「ほんまの話じゃが! えーと、今まででいうと、尾崎さん、木村さん……」  知らない名前を並べ上げ、僕は「はいはい」と聞き流しながらサンドに噛り付いた。 「そんで、わしもな」  ぴたりと止まり、僕と伊月さんが見合わせたあと、マスターに振り返った。
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