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「そっかー……。マスターが結婚しちゃうのは寂しい気もするけど、なんか嬉しいな。それに、そういうジンクスもけっこう好きよ」
「ところでマスター、コーヒーがないんだけど」
「この坊主が」
舌打ちをして、マスターと伊月さんがキッチンに戻った。
琉斗は僕の向かいの席にちゃっかり座っている。
もの欲しそうに見てくるので、サンドをひとつやったらものすごく喜んだ。
雲に隠れていた太陽が顔を出して、僕の席を照らした。
テーブルの隅にある小さなガラス花瓶に反射した光が眩しくて目を瞑り、次に目を開けると伊月さんの手とコーヒーがあった。
「仕事、今日は一時に終わるからそれからどっか行く?」
「行きたーい!」
「どこ行きたい?」
「公園!」
「公園かよ……」
「高科くんの大人げない姿をまた見られると思ったら楽しみだわ」
「あのねぇ」
コーヒーを啜った。
「あー、美味い」と、ついつい酒を飲むオヤジのように言ってしまう。
――そうか、
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