第一章

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「さあ、君たちの顔も見たし、私は戻るよ。報告はいつも通り書面でいいから、すぐに部屋に戻って結構」 「了解です」  ローガンと声を合わせて答えると、団長は軽く手を挙げ、背を向けた。  だが、途中俺の方を振り返った。 「そうだ。ライアン、今度食事に行こう。いい店があるんだ」 「食事、ですか?」  俺は眼をしばたかせた。  団長は忙しく、そんな暇はないはずだ。  彼と最後に食事したのも、もう何年も昔の話。  俺が返事に困っていると、団長は肩越しに苦笑した。 「息子と食事をするのに、文句を言う人はいないだろう。時間を空けておいてくれ」 「はい、分かりました」 「ありがとう」  大勢の護衛に囲まれて去っていく団長を見送りながら、俺は再度ローガンの傷口を確認した。 「ローガン、医務室にいこう。消毒してもらった方がいい」 「これくらい、かすり傷だって。お前は心配しすぎなの」 「じゃあ俺の部屋で消毒してやるから、来い」 「ちょ、ちょっと待てよ!」  俺はローガンの腕を掴むと、困惑するかれを引きずるようにして中へ入った。  簡素なエレベータに乗って居住区まで降りると、等間隔で並んでいる扉の前を通り過ぎ、一番奥にある自室の扉を乱暴に開けた。
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