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月光のように輝くアイスブロンドと、血のように赤く濡れた瞳が、俺の視線をからめ取った。
赤い瞳ということは、あの青年もヴァンパイア。
それも、この重圧感からすると、今まで遭遇したことがない高位のヴァンパイアだ。
俺は突然現れた秀麗なヴァンパイアを見つめたまま、その場に片膝をつく。
圧倒的な力。視線だけで他者を屈服させるほどの威圧感に、胸が苦しくなった。
うずくまる俺を見つめたまま、美しいヴァンパイアは微笑む。その背後から三体のヴァンパイアが飛び出し、俺へ向かってきた。
銃を持ち上げる。だが、震える腕では照準が定まらない。
あと数メートルで喉を食い破られると思ったとき、ローガンの引き締まった腕が俺の体を抱え上げた。
「ライアン、大丈夫か!?」
ヴァンパイアから距離をとり、ローガンは訊ねる。
間近にあるローガンの不安げな顔に、俺は小さく頷いた。
「すまない、大丈夫だ・・・・・・」
「そんな真っ青な顔で何言ってんだ。ここは一旦退却ーー」
「嫌だ」
俺はローガンの腕の中から抜け出すと、片方の銃を両手で構え、全精神力を総動員して、引き金を引いた。
一発、二発、三発。
人間の視力では、ほぼ残像にしか捉えられない化け物の頭に向けて、俺は狂ったように弾丸を放つ。
「退却なんてあり得ない。俺はこいつらを殺さなきゃいけないんだ!」
たとえ弾が外れようと、当たるまで撃ち続ければいい。
この忌まわしい生き物をこの世から根絶する日まで、俺は奴らから逃げてはいけないのだ。
硝煙と液化するヴァンパイアの生臭いにおいが充満する公園で、俺はひたすら引き金を引き続けた。
雑魚を撃ち殺し、最後にあの高位のヴァンパイアを殺そうと姿を探したが、あの美しい姿は、闇に紛れて消え去っていた。
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