仲直り

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流石に限界きたのかベリっとたかちゃんから剥がされ、床に胡座をかいて座っていた透の足の上に収まった。 「大作も透より俺の方がいいだろ?」 「え、透がいい。」 「即答かよ!」 あははと笑い合えば、後から俺のお腹に回してた腕に力が入る。 「俺は…今はもう親父も居ないし、過ぎたことだし過去の事だと割り切ってる。…だから、今は恨んでなんかねぇし、嫌いでもねぇ。…です。」 相当恥ずかしいのか、俺の肩に額を乗せ呟くように話した。 そんな透にたかちゃんの顔を見れば、泣きそうに笑っていた。 「俺も、あの時は悪かった。今でも後悔してるが、透がそう言ってくれるなら俺は救われた思いになれるよ。…ありがとな。」 立ち上がり、俯いたままの透の頭をクシャクシャと撫でるとそのままリビングを出て自室へと行った。 パタン、とドアの閉まる音が聞こえると、透は大きく息を吐いた。 「……はぁー。なんか、疲れた。」 「ふふ、お疲れ様。…仲直り出来た?」 「仲直り…か。喧嘩してた訳じゃないと思ってたけど、喧嘩みたいなもんだよな。大作のおかげだ。ありがとな。」 そう言って、俺の顎を掬い上げ、触れるだけのキスを何度か繰り返した。
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